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大豆田とわ子と三人の元夫 第一話

”セリフのグルーブ感”で唯一無二のドラマになる。それがこのドラマを見終わった後の最初の感想だ。それは、圧倒的な台詞量と独特の文体によって形作られる。

 

【はじめに】
坂元裕二さんが「anone」以来、約3年ぶりに連続ドラマの脚本を手がける「大豆田とわ子と三人の元夫」が始まった。私達は、3年の月日を経て、更にアップデートした坂元裕二さんの作り出す世界のコトバに触れることになる。


それは、まさに「Living」にて書けない作家(阿部サダヲさん)がどんぐりと交わした「今、作家は何を書くべきなのかについて」の台詞を思い出さざるを得なかった。

 

本来ね、作家というものは人間の醜い部分を書くものなのだよ、危険な毒を吐くものなのだよ、それがいまやなんだ、正直現実の人間が醜すぎて、私の吐く毒が毒じゃなくなってしまった、とんかつ屋に行ったらとんかつ出されたみたいなことになってしまった、そうだよ、そうなんだけどもね、こうなった以上もうしょうがない、私は言うぞ、人間って素晴らしい、人間は生きる価値がある、人間は居ていい、そう言いたい、私は負けないぞ!


また、このドラマは、ロマンティックコメディと銘打っているが、実は若者に見て貰うことを前提に創られている。今を生きる若者合わせて敢えて、目次的なものをはじめにつけたり、YouTubeのようなテンポ感にするなど工夫を凝らしている。(それが良いことかは別問題だが…)更に、今までの坂元作品で多く見られた長台詞や重い雰囲気は排除され、会話とナレーションを中心に物語は進む。


【違和感】
新しいものを見たときの違和感があった。その違和感は、ファーストシーンから始まる。つまり、ナレーションだ。大豆田とわ子を客観的に見た姿をナレーションしている。(それはまだ普通のドラマでもある。)
しかし、それと同時に、大豆田の気持ちを大豆田(松たか子さん)ではなくナレーター(伊藤沙莉さん)が言葉にする。この二つを同じナレーターが行なっている事に違和感を感じたのだ。

 

【さいごに】
中村慎森(岡田将生さん)の独特のリズムで繰り出される台詞。そして、佐藤鹿太郎(角田晃広さん)の何処かロマンティックであり、どこか抜けている感覚。更に、田中八作(松田龍平さん)のミステリアスな魅力があのセリフの量の多さだからこそ溢れてた。
しかし、まだ三人の元夫の過去が全く明かされてない。綿来かごめ(市川実日子さん)が居留守をする理由、三人の元夫達の周りの関係性もまだまだ楽しめる余裕がある。そもそも今後語られるかはわからないが、健正(斎藤工さん)が難病の母がいると言う事実は嘘だったのだろうか。ラストの怒濤の展開。第二話以降も楽しみが尽きない。


この台詞で締めたいと思う。

 

綿来かごめ「離婚っていうのは自分の人生に嘘をつかなかったって証拠だよ」


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